1日1ジョーク

創作アメリカンジョークを公開しています。1日1更新。

自動音声

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テレビが映らなくなったので、老人がサポートセンターに電話した。

自動音声「お電話ありがとうございますーー」

老人「もしもし? テレビが急に映らなくなったんじゃが」

自動音声「商品の使い方に関する問い合わせは1を、商品に対する要望は2を――」

老人「もしもし? 聞いておるのか?」

自動音声「――もう一度聞く場合は、9を押してください」

老人「は? ボタンを押せじゃと? わしゃテレビを映すにはどうしたらいいか聞きたいだけなんじゃが」

ばあさん「それは機械だから会話できませんよ」

老人がまともな対応をできていないことを見かねて隣にいたばあさんが口を出した。

ばあさん「オペレータの人につながるまで、指示に従ってボタンを押す必要があるんです」

老人「???」

老人はわけがわからなかったが、ばあさんが辛抱強く説明し、なんとか理解した。

老人「そうか。本物の人の声のように聞こえたが、機械じゃったのか」

老人は自動音声の指示通りにボタンを押すことにした。

しかし、老人の用件がどれに該当するか一度聞いただけではわからず、また、一度選んでも今度は別の選択肢が出てきたりして、なかなかオペレータに辿りつくことはできなかった。

老人は何度も音声を聞き直し、ときには最初からやり直したりもしながら、なんとかオペレータに辿りつくことができた。

オペレータ「もしもし、どうされましたか?」

気づけば最初に電話してから1時間はゆうに超えていた。

老人「先ほどまで電話していた機械について聞きたいんじゃが」

オペレータ「はい?」

老人はテレビのことなど忘れて、自動音声についての質問をした。

老人「あれと直接話すにはどうしたらいいんじゃ?」

オペレータ「……えっと、自動音声のことでしょうか」

オペレータは戸惑いながら、直接話すことはできないと説明した。しかしじいさんは納得せず、押し問答が続いた。

老人「お前じゃ話にならん!」

しびれを切らした老人は叫んだ。

老人「責任者と代わってくれ」

責任者に繋がるのを待っている間、老人は隣にいるばあさんをちらりと見た。

老人「悪いがばあさん、少し席を外してくれ」

ばあさん「はいはい、わかりましたよ」

ばあさんが姿を消すと、ちょうど責任者の声が聞こえた。

責任者「お電話代わりました、私、当コールセンターのセンター長を勤めさせていただいておりますサトウと申します」

老人「サトウさん。あんたに言うのもお門違いかもしれんが」

責任者「いえ、当センターの責任は全て私にあります」

老人「あの機械についてじゃが……もちろん、機械に心はないことは分かっておる。だからこんなことを言ってもどうしようもないじゃろう。しかし、どうしても言わせてほしいんじゃ」

責任者「……はい」

責任者は覚悟して老人の言葉を待った。

老人「わしゃ、あの子に惚れた」