1日1ジョーク

創作アメリカンジョークを公開しています。1日1更新。

タクシー

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男「前の車を追ってくれ!」

タクシーに乗り込んで来た男が、慌てた様子で言った。

運転手「え? 前の車?」

男「早く!」

男に急かされ、運転手は車を発進させた。

前を走っているのは、どこにでもある一般的な軽自動車。

何故この男はあの車を追っているのだろうか。

運転手が考えていると、前の車が突然左折した。

慌ててタクシーも左折する。

 男「何やってるんだ、気を抜くな」

運転手「すみません」

運転手がバックミラーを見ると、男は険しい表情で前を見ている。

男の真剣な様子に、運転手はだんだん緊張してきた。

もしかすると、とんでもない仕事を引き受けてしまったのかもしれない。

前の車はあの手この手でタクシーを撒こうとしており、一瞬も気が抜けなかった。

運転手「お客さん。いつまで追えばいいんですか」

男「追いつくまでに決まってるだろ」

運転手「でも、向こうは明らかにこちらに気づいてますよ? 見失うのは時間の問題かと」

男「うるせえ! ごちゃごちゃ言ってねえで黙って追え!」

そのとき、プップーと横からクラクションが鳴らされた。

運転手は慌ててハンドルを切り、激しく揺れてタクシーは急停車した。

運転手「大丈夫ですか、お怪我はありませんか?」

運転手が声をかけると、男は深いため息をついた。

男「怪我はねえ。だが、あいつを見失ってしまった」

運転手「……」

男「何週間も張り込んで、ようやく見つけたホシだったのにな」

運転手「……やっぱり刑事さんだったんですね。すみません、私のせいで犯人を取り逃がしてしまって」

運転手が謝ると男は怪訝な顔をした。

男「刑事? 犯人? なんの話だ?」

運転手「あれ、違うんですか。でもさっきホシって言ってましたよね」

運転手が確認すると、男は「ああ」とうなずいた。

男「彼女はまさに俺という夜空を照らし出してくれる星だ。俺にはもう彼女しかいない。なのに、何故話すら聞いてくれないんだろう」